ウルトラマンの主題歌に見るアレンジ進化

連続して聞くとよくわかる変遷

 
ある日、FMラジオを聞いていると、連続でウルトラマンの主題歌が流れてきました。「公共の電波で堂々と6曲ほどフルコーラスで流す番組ってどうよ?」というポイントはさておき、とってもわかりやすく、どのように変わっていったのか、がわかって面白かったです。
 

変わるものと変わらないものがある。

 
曲順は、1回聞いただけなので曖昧ですが、確か、ウルトラマン→帰ってきたウルトラマン→ウルトラセブン→ウルトラマンエース→ウルトラマンレオ→ウルトラマンタロウの順だったような気がします。
ではまず変わらずシリーズを特徴付ける要素として残したのであろうポイントは次の2つだと思います。

  1. 使用されている楽器の基本構成。通常のバンド構成にフォーンセクションが基本のようです。
  2. 歌の使い方。子供が歌いやすいキーでメロディが作られていて、子どもの歌声に合わせて、味付けとして野太いおっさんの声がオクターブ下で同じメロディを歌う。これも基本的に変わらないもののようです。

では次に変わっていく部分ですね。
 

  1. 曲の構成。
    最初のウルトラマンでは、1番と2番はほぼ同じ音の繰り返し。そして曲の構成が変わる際に特筆すべきアレンジはありません。ところが時代と共に、どんどん小粋なアレンジが加わってくるのです。「前作のイメージを踏襲してよりよいものを」という気概が伝わってきます。
  2. 歌の演出。
    1作目は単純に高音部分を子供が歌い、低音部分をおっさんが歌い、かつ同じメロディ。これが2作目では、一部ハモリでのコーラスが入ったりして、だんだんいろいろやるようになってきます。この変化に大変心意気が感じられました。さらに、使用される楽器が多くなってきったことがあげられると思います。

 

何年たっても「あ、この曲」と思い出し口ずさめるってすごいことだと思うわけです。

 
このような曲は、幼年期になんとなく聞いただけのものであっても、メロディと歌詞がふっと浮かんできます。「これは刷り込みに近いのか?」と思うほど、あっという間に記憶に残る。大衆性が音楽の一要素であるとするならば、すごいことだと思います。
 
一見、子どもっぽい、稚拙な曲であっても、大衆に覚えられやすいメロディ・曲を目的に作ることはプロとして必要なことなのでしょう。しかし、それが極端になると、覚えやすいけれども、無味乾燥な歌詞の内容であったり、「覚えてもらえさえすれば売れる」という商売根性に繋がったりすることも否定できない気がします。どちらにせよ、「何を表現したいのか」というものの方向性がはっきりしていないと、ろくなことにはならないということなのでしょう。