問.リズムを説明せよ

リズム

条件:きちんと言語化すること。

 

ボイストレーニングを続けてはや10年数年、音楽の重要要素であるリズムを問われたとき、「説明できない人」が多すぎます。

 
普通の人は当然ですが、セミプロで楽器をやっていた人でもリズムをきちんと言語化できる人はほとんどいません。「まあ色々あるから」というお茶濁しな返答が多いのです。とは言っても実際の演奏は上手なので、おそらく感覚的にできているのでしょう。演奏上はそれで問題ありません。しかし、そもそも音楽上のルールなので、何らかの普遍的要素はあるはずです。それが知りたいのに、説明があいまいでわからないのでは、「なんとなく」の体得に頼らなければなりません。一方でリズムの体得なしでは決してCDみたいな歌にはなりません。そこで次のように考えていきたいと思います。
 

リズムとは楽曲の根底に流れるルールのひとつ。

 
リズムとは何か?と考えるとき、まず前提として言えるのが「音楽として成立させる要素」ということです。ただの音、つまり無秩序に発生する音(騒音・生活音など)とリズムに乗った音を区別し、音を音楽として認識させる要因だということです。
ではただの音が音楽にならないか?と発想を反転してみます。茶碗を叩く音、雨音、エンジン音、紙を破る音などが、音楽として聞こえることが出来るか?ということで考えてみると、列車がレールの継ぎ目を通過する音など、人為的に「規則的に」鳴らす音ならば、音楽と捉えることができます。つまりリズムとは、音を出す「規則」なのです。
 

リズムという規則には大きく分けて3つの要素がある。

 
ここではあまり答えを書かないようにしているのですが、それでも「まあ普通気がつくな」という要素ぐらい書いてもいいや、と思いましたので、3つの要素のうちの2つを書いておきます。第1番目は「速度」です。あくまで原則的な話で通しますが、音楽に合わせて「1,2,3,4,5,6,7,8」などカウントを取りますね。このカウントの間隔が基本的には一定でなければならない、ということです。1から2までが1,4秒、2から3までが0.8秒、3から4までが2.6秒など、次にいつカウントを取るかわからないのでは速度がバラバラになり、もはや規則とはいえません。曲を歌ったり演奏したりするのであれば、この「速度」を一定に出来ることが最初に求められます。
第二はタイミングです。カウント3のときに、「同時に」音を出さなければならない場合、遅れたり、早かったりするのはタイミングがずれている、と認識されます。これは分かりやすい。高校生のバンドでちょっとレベルが上がってくると、タイミングに関して口すっぱく注意しあうなんてことが多いですよね。
第三の要素ですが、実はこれが最も重要です。第一・第二の要素ができていても、これができないと、決してCDみたいな歌や演奏にはなりません。しかもきちんと説明ができないのがこの部分です。「ほら、このグルーブがさ!」とか「このノリなんだよね!」みたいな説明になります。「だから、そのグルーブってなに?」「ノリってなに?」と突っ込んで質問をしていくと答えに詰まるか、言葉だけの無限ループに陥ります。それぐらい感覚的に捉えられているものです。でもきちんと答えはあります。しかも気がついてしまえば「なんだよ、そんなことかよ!」と思わず声が出るぐらいシンプルな要素です。答えはプロの演奏の中にあります。解き明かしましょう。
 

リズムは「理解すること=できること」とはならないことがほとんど

 
仮に第三までの要素を全て理解してもらい「さあこれでできますね!」と言ってやってもらっても、ほとんどできません。先ほどグルーブとかノリとかで説明したとおり、感覚的に体得しなければいけない要素が多いからです。ただ、感覚に頼ってのみ体得した場合は、応用が利かないことが多々あります。あるジャンルの曲調はノレるが別の曲調はちぐはぐになる、といった感じです。私の場合、生徒が歌いたい曲を歌えるようにすることがレッスンの目的ですので、ジャンルを限定するわけにはいかないけっこうめんどくさい立場です。ですから、生徒から歌いたい曲を聞けば、一度分解して、それぞれのジャンルの基本ルールがどうなっているのか、を考えます。一見、回り道のようでも、そのほうが面倒が少なくてよいのです。ますは自分の好きな歌でかまわないと思います。この第三要素とリズムの実現の仕方という2つの問題を解いて、カラオケ屋さんでもCDみたいに歌ってみましょう。
 
ではでは