「声が前に出てない」ってなんのっこちゃ?

ボイス

声の出方・聞こえ方には、いろいろ要素がありますが、 けっこう言われる要素にもかかわらず、 明確に説明されていないもののひとつがこれです。

 
逆に「声が引っ込んでいる」という言い回しのほうがわかりやすいかもしれません。楽器の音と混じった時に、楽器の音に負けない、存在感のある声、とでも言いましょうか。これを総じて「声質」と一括りにしてしまうと、話が終わってしまいます。では普通の人ではどんなに練習しても「声は前に出ない」のでしょうか? そんなことはありませんよ。
 

「声が引っ込んでいる状態」は素で録音した自分の声で判断できる。

 
マイクは基本的に何でもいいのですが、出来ればコンデンサマイクで、自分の声を録音してみましょう。マイクとの距離は5~10cmぐらいでよいでしょう。そして何の加工もせずにそのままヘッドフォンで聴きます。さてどう聞こえますか? マイクからかなり近いところで声を出し、録音したにもかかわらず、なんだか30~50cmぐらい遠くに聞こえることが多いと思います。「コンデンサマイクだから」と一言でまとめてはいけません。逆にこの状態でも、まるでヘッドフォンから耳にへばりつくように聞こえる声が作れるのです。
 

「声を前に出す」ということは、「声」に存在感を増す振動を追加するということ。

 
そりゃあそうです。声を前に、と言われて、口先でなんとなく歌ってもできません。しかし、「前に出ている声」には比較的簡単に気づくことができます。カラオケ屋をイメージしてみましょう。とにかく大きな声で張り上げるように歌うマッチョ系の男がいます。まあ迫力はありますが、何を言っているのか聞き取りづらい。次に華奢な娘さんが歌います。声量なんてマッチョ系の1/10にも満たないかもしれません。しかし、なぜかマイクがきっちり声を拾い、通るように声が聞こえます。これが「声が前に出る」という現象です。
 

声は前に出たほうが「メロディや歌詞に説得力が増す」んじゃないかと思う。

 
それでは「声は前に出たほうが本当にいいのか」という問い。実は、ここはなかなか難しいところです。引っ込んでいても上手な人はいます。そもそも「いい声」をもっている人や、引っ込んでいるがゆえにやさしかったり透明感があったりする場合など、取りようによってはプラスの要素にもなりえます。ただ、せっかく歌うなら、どちらもできたほうがいいではありませんか。特にロック・ポップスを中心に歌っていて、迫力を出したい人にとって「声を前に出す」は必須でしょう。また、これができると自分で録音した声と曲の演奏をミックスさせることが簡単になります。便利ですね。このほかにも声の幅を広げる振動や、その人の持つ「いい声」を追加する振動、声に色っぽさを使いする振動、などなど専門的にはいろいろありますが、まずは存在感のある声を作ることから始めるといいいでしょう。