目の前のニーズだけで選ぶと後々苦労したりします。
基本歌だけのお教室ですので、声の録音ができれば良いのです。そして世の中、MTRからPCレコーディングに移行がすすんでいた時期のお話です。
昭和の人は、まずは専門っぽい機械にあこがれる。
私の高校時代は、PCでの作曲などまだまだ進んでいなかった時代でした。ゆえに音楽をやる上では、エフェクターやレコーダーは専門機材をそろえる必要がありましたし、その専門性が故に、手に入れたときの優越感はなかなかのものでした。
とはいっても歌だけでしたので必要だったのは手軽に多重録音ができるもの。これはMTRというものがありました。マルチ・トラックレコーディングの約ですが、
1トラックには楽器の音
2トラックにはメインボーカル
3トラックにはコーラス
4トラックにバランスをとって1、2,3、トラックをミックスダウン。
これを繰り返して音を重ねていく、なんていうことをよくしていました。そんなことで教室を始める時も、最初はこのMTRの進化したやつを買って使っていたのですが、だんだんとメディアミックスが進んでくると、いろいろな機材で別々に音を出すのが面倒くさくなります。そこでけっこう早目からDAWソフトへの転換をすることを決めました。
最初のニーズは単純だった。
そんなことで、当時のDAWはパッケージ売りばかりでしたので、楽器屋に行って聞き込みです。「基本、歌の録音ができればよい。そして複数のトラックが使えればなおよし。で、できるだけ安く」という目の前のニーズのみの条件です。そこで選ばれたのが「SONER X1Essential」。いやーほんと、安くて当時、必要なことはだいたいできました。これを使い倒していたところ、生徒から作曲作業を依頼されました。
ここで、単純に「ピッチ調整機能がついてない」ということがネックになりました。加えてドラムの音など、いろいろと不満が出てきます。すると次の判断が出てきます。
「操作は慣れているので、この機種の最上位に買い換える」です。
「操作に慣れている」
実はこれが落とし穴です。のちのち気づくのですが、プロ志向の人たちが使うDAWはまず「PRO tools」というマック専用ソフトです。次に「Cubase」という日本最大シェアをほこるソフト。最近ではMac専用で「ロジック」なるソフトも評判が良いようです。シェアがある、ということは「なかなかなくならない」ということと「使い勝手を相談できる」という利点があり、これがかなり重要なポイントとなります。
後で気づきましたが。この最上位機種への買い替えの時になぜもっと熟考しなかったのか、楽に流されたことが悔やまれます。
そんなこんなで「sonerX1 producer」という機種に乗り換えることになります。
5年使った。あれ?なくなっちゃった……
それでも最上位機種でしたので、最下位機種とは比べ物になりません。できることも増えました。この機種があったからこそ、CD音源に近づける実験ができたとも言えます。しかしながら、途中でライセンスがローランドからタスカムへ売却、本体もギブソンに売られたとか。そしてパッケージ版販売終了と暗雲立ち込めることばかり。
さらに、長いこと使っているといろいろと不明な不具合も生じます。「このサポートがなくなったらどうするよ?」みたいな不安も生じます。かといって、今からゼロから他のソフトに移行するのはひどい手間がかかりますし、今まで作ってきたものが再生・変更できなくなる。こんな状態に陥りました。
最終的にはダウンロード型の新型sonerが、評判が悪かったのか、だいぶ大盤振る舞いのセールをやったため、よくよく確認したところ、心配されていたことは全部クリアされていたので、5年ぶりに最新版へアップデートしました。ま、アップデートデータでもかなりトラブルが発生し、1週間てんやわんやでしたが。そんなことで、DAWの初回購入時は、「どこまで、将来的につかうか?」をきちんと見定めて、財布と相談することをお勧めいたします。

