歌う前に頭でっかちになっていませんか?

ミックスボイスって、いったいなんなんだ?

 
ボイストレーニングを続けてはや10年数年、
私、オーナーちゃんの前には、いろいろな人がやってきます。
「ここに来る前、色々調べてミックスボイスが必要だ、って書いてあったんですが」
「どの声で歌いましょうか?ミックスボイスでいいですか」
などという人。1割ぐらいの確率かな。こと男子、声優志望の方に多い。
これに対して思うことは、正直「うっ……可愛そうに……」です。
どうして私がそう思うのか、これからお伝えしたいと思います。
 

やってはいけない歌い方がくせになっている!?

 
「ミックスボイス」を口にしながら、教室にやってくる人は、うまく歌えないことに苦しんで、調べて、自分なりに研究して、それでもうまく歌えないからうちのような教室に来た、そんな人たちです。それでも自分なりに練習したことが正しかったと思いたい気持ちに涙が出てきます。私もかつてはそうだったから……
 
で、結局最初に言うことは「とりあえず全部忘れてね^^」です。
 
歌えるようになったのであれば、別にうちに来る必要はありませんし、たいがいこの手の状態で来る人は、やっちゃいけないことをいくつかやっていて、しかも癖になってしまっています。この癖を抜くのがものすごく大変です。まあ、その癖の状態は横において、実際世の中にはびこっている「ミックスボイス」なるものが本当にあるのかどうか、ということを考えてみたいと思います。
 

裏声、地声、二つの音を混ぜるのがミックスボイスなのか?

 
「ミックス」というくらいだから、少なくとも2つ以上の要素を「混ぜる」ということが予想できます。ほとんどの書籍やレッスンの中では「裏声と地声を混ぜる」という説明になります。これだと確かにミックスされているように思われます。
 ここで、「ああ、そうか」と納得してはいけません。というか納得できない人種が私のようなひねくれ者です。ここで考えなければいけないのが「では裏声ってなに?地声ってなに?」そして、「それぞれの声って本当に合成することが出来るのか?また本当にやり方が存在するのか?」という点です。
 調べて、聴いて散々情報を集めた結果、「裏声、地声を明確に定義しているものはない」ということです。それぞれの人がなんとなく「これは裏声、これは地声、この声は裏声・地声が混じった感じ」程度の理解しかしていないと言い切っちゃっても言いぐらい曖昧なものです。
 一方で「混じっているような声」というものはある、のも事実です。長い期間、多くの人に「ある」と信じられてきた声の出し方をばっさり「存在しない」というのは確率的に低いと考えるのが妥当でしょう。というか、この声の出しかた以外は歌に使えない、というのも事実であると言い切ります。そもそもとして「声」をきちんと空気振動の産物であるという理解から分解しないと説明できませんが、以下の点から次の通りの結論を出そうと思います。

「ミックスボイス」といわれる声の出し方は存在する。
しかし、裏声・地声をミックスした声ではない。
よって「名前の付け方が悪い。最初につけた方、もうちょっと考えてほしかった」

ということになります。
 
そして一般に「ミックスボイス」といわれる声の出し方のみが歌に使用される声です。
そしてその声の出し方は・・・・・がんばって見つけてください。
 
ではでは