音楽をテーマにしたマンガのドラマ化・アニメ化について

若者が音楽で頑張る(?)マンガ原作が、音の出るアニメになったので見てみた。
 

音のないコンテンツはある意味無敵

 
2次元のコンテンツとしてのマンガは、音を表現するのが難しい。しかしながら今まで何度も音楽やバンドをテーマにしたマンガがヒットしてきたことは厳然とした事実です。古いところだと「TOY」ですかね? その後の有名どころでは、「BECK」とか「NANA」とか「のだめカンタービレ」などなど。そしてその表現方法としては、画像としての表現と「聞き手の感想」によって方向付けられます。
 
これはつまり、
 

「もし読んでいるあなたが、同じ感想を持つとしたら

どんな音・声・ですか?思い出してください、それですよ、それ」

 
という読み手の想像力に音のイメージを丸投げするわけです。これはある意味無敵です。どんな人でもその感想に付随する何らかの記憶やイメージがあるわけで、勝手に「ああ、あんな感じかな?」と、音のイメージを補完してくれるのです。これで作品中の音のイメージの問題は解決となり、読み手には何の不満も残らないのです。
 
と・こ・ろ・が
 
この音のイメージは読み手の個々人ごとに「か・な・り」バラバラである可能性が高いです。これはイメージのみに依存すればするほど、それらの差異は大きくなると考えられます。
そんな中、ドラマ化・アニメ化する場合このイメージを強制的に1つに絞らざるを得ない。ここで視聴者からのクレームが発する可能性が極めて高くなります。
 
「こんな声じゃねーよ」
「こんな曲じゃねーよ」
 
などなどですね。原作がなく最初から「この曲・この声」で発表されてしまえば、その音に対しては特に問題はないのですが、とにかく聞き手に最高度に良いはずのイメージ、しかも漠然としたものが先行しているので、「比較」という壁が大きく立ちはだかるのです。
そこをうまく回避したのが「NANA」だったのではないでしょうか。最初からプロの声を当てる。これによって「下手」という印象を与えないことに成功しました。ところがそういうお金のかかることができないような弱小プロダクションなんかは、かなり苦労するのではないかと思います。
そういえば「マクロスΔ(デルタ)」という作品では、声優とその人が歌う設定になっている歌は別の人が歌っていることがありました。これは曲に関するこだわりと言えるのではないでしょうか。とにかく作品にする場合にはこういうイメージには細心の注意が払われているように思います。
 
で、何が言いたいか、と申しますと「覆面系ノイズ」という高校バンドの作品の歌は
 
「ないわ……」
 
ということでした。発声もピッチもリズムもスタぼろです。「わざとやってる?」と思うほどです。その歌で「プロデビューして売れていく」みたいな物語くさいので、残念極まりない印象となってしまうのです(←個人の感想です)。
高校生のバンドでがんばってやっているなら問題ないレベルですが、
 
「プロ?え?冗談でしょ?」
 
と設定と合わないものが出てしまうと、もう少しキャスティングを考えていただけると安心して視聴できるのではないかなぁ、そう思う今日この頃です。
 
 

歌がうますぎることが弱点にもなりうる

 
逆のパターンもあります。「BLOOD C」という作品中で、主人公の女子高生が通学途中で鼻歌として歩きながら歌を歌います。完全にアカペラです。しかしながら
 
「音がずれない・リズムがずれない、めちゃめちゃうまい」
 
という点で違和感がありました。で、エンドロールみると主人公の声優さん、水樹奈々さんでした。ある意味声優として
 
「それはちょっと……」
 
と思った出来事でしたw