久しぶりに2冊買ってみた
勉強を怠ってはいかんな、ということで「科学的!」と主張しまくっていた本を買ってみて読んだ。
確かに科学的な内容。でも、これでは声は出ない
同じ作者の方の本2冊買ってみました。久しぶりです。今まで10冊以上は買って、それ以外も読んだり調べたりしましたが、残念なことに一つとして役に立ったものはありませんでした。今回の作者は、とにかく「科学的」をキーワードに書いたということが冒頭に書いてありましたので、「どれどれ」と買ってみたわけです。
前半は確かに科学的です。音の振動の回数や体内の構造、空気圧と振動数の関係などを、発声研究の大家の方の書籍などをきちんと参照して書いてありました。作者は、あちらこちらで指導を熱心に受け、アメリカでも有数のトレーナーにも師事された上、ご自身も歌手のようです。でもね、「これって発声科学の歴史を寄せ集めて書いただけじゃん」という感想をオーナーちゃんは持ってしまいました。まあ、それぐらいきちんと科学的にアプローチしたということを主張したいようですので、これはこれでまあ納得。で、実際の発声の方法に関しては、「いままでと変わりないじゃねーか!!」という感想になりました。
科学的な音の変化と肉体の変化はわかる。
でも知りたいのは「その肉体をコントロールする方法」
音の高さは、声帯の厚さが変わることと気道での空気圧が主に関係しているということでした。たぶんそうなんでしょうね。で、「どうすれば意図的に声帯の厚さってかえられるの?どうやって気道の空気圧をかえられるの?」ということにはまったく触れていません。今までどおり発声練習を繰り返すことで、できるようになる、というだけ。そしてまたしても「高い音を出す」ということのみの説明で、「言葉をつくる」という視点はありませんでした。ということで、根拠としての科学的知識が増えましたので、まあいいや、ということになりましたが、発声の教則本の限界を改めて感じたわけです。あーでも、もしかしたらわざと書かなかったのかもしれません。教える人間にとっては飯の種ですからね。「これだけ科学的なアプローチをしているから、ぜひ来てね^^」ということなのかもしれません。
科学的であってほしいのは意図的に動かせる人体作業と、声の高低差の関連
前述のように「声帯を薄くすればよい」や「気道の気圧を上げる」などはきっと確かなことなのでしょう。でもそれはそんなに重要ではありません。ほしいのは「体をこう使ったら高い声がでた。それはいかなる状態でも、老若男女の別にかかわりなく共通であり、再現が可能である」という側面の科学的立証です。で、声帯が薄くなっていたり空気圧が上がっていたりするのは、結果としてそうなっていればいいわけです。人間のコントロールできないことなんて、歌うという肉体的な動作に対しては別ベクトルの研究だと思うわけです。
一方で、現実的な肉体の動きと声の出との関連を書いている本のほうは、統計的にあまりにも薄弱。「あー、あなたは出たのすね。でも私は出ません」ということが多々起こることでしょう。まあこれからも可能性がある本は買って研究しようと思いますが、今までの経験上あまり期待ができませんので「しょうがない、自分で考えよう」と改めて思うわけでした。