膨大な組み合わせの可能性。

君は正しく選び取ることができるか?

 

発声を筋肉運動に置き換えて考えようとした時、
その動きの組み合わせは膨大になります。

 
声を出す時は、複数の箇所が意識的・無意識的に動作します。その中で「歌に適している動き」を考えると、本当に気が遠くなります。その要素だけの中でも簡単なものをあげてみます。読者のみなさんにもクラクラしてもらおうと思います。
 

動く必要があると予想される箇所

 
ここからは列記していきます。もっと細分化できますが、とりあえず考えやすいパターンでいきましょう。
 
まずは、声を出す前の準備として、

  1. 口唇 
    :大きく開ける、空けない、横に空ける、縦にあける。
     →4パターン
  2. 舌根筋群
    :特に何もしない、上げる、下げる、前に出す、後ろに引く。
     →5パターン
  3. 軟口蓋(喉ちんこの辺りの柔らかい部分)
    :特に何もしない、上げる、下げる、前に出す、後ろに引く。
     →5パターン
  4. 甲状軟骨(喉仏)
    :特に何もしない、上げる、下げる、前に出す、後ろに引く。
     →5パターン
  5. 鼻腔
    :何もしない、息を通す、通さない。
     →3パターン
  6. 肋骨及び胸骨
    :何もしない、膨らませる、萎ませる。
     →3パターン
  7. 横隔膜
    :何もしない、左右に引っ張る、前後に引っ張る、前後左右に引っ張る、下に押し下げる、上へ押上げる。
     →6パターン
  8. 声帯周り筋肉
    :何もしない、横に引っ張る、上げる、下げる、膨らませる。
     →5パターン
  9. 腹筋
    :何もしない、力を入れる、力を入れない、力を入れて前に出す、力を入れずに前に出す、力を入れてへこませる、力を入れずにへこませる。
    →7パターン
  10. 背筋及び後背筋
    :何もしない、左右に広げる、前に出す、後ろに広げる。
    →4パターン

とまあ、予備動作の筋肉作業だけでこんな感じです。そこに声を出す際の意図的な動作が加わります。
 
「声を出す時に」

  1. 口唇
    :明確に形を変える、変えない。
     →2パターン
  2. 舌根筋群のどこを動かすか
    :上、下、前、後ろ、上下、前後、すべて。
     →7パターン
  3. 軟口蓋
    :動かさない、上に動かす、下に動かす、左右に広げる、左右からつぶす、上下に広げる。
     →6パターン
  4. 鼻腔
    :何もしない、響かせる、響かせない。
     →3パターン
  5. 肋骨及び胸骨
    :固定する、力を前にかける、力を後ろにかける、横からつぶす、下へ引っ張る、上へ押し上げる。
     →5パターン
  6. 腹筋
    :固定する、前に出す、後ろに引っ込める、下へ引っ張る、上へ押し上げる。
     →5パターン
  7. 横隔膜
    :固定する、前に出す、後ろに引っ込める、下へ引っ張る、上へ押し上げる。
     →5パターン
  8. 背筋・後背筋
    :固定する、前に出す、後ろに引っ込める、下へ引っ張る、上へ押し上げる。
     →5パターン
  9. 声帯周り筋肉
    :何もしない、横に引っ張る、上げる、下げる。
     →4パターン
  10. 呼気
    :口から吐き出す、吐き出さない、鼻から出す、鼻から出さない、口と鼻から出す、口と鼻らか出さない、
     ※出さないといっても結局は出ていますが意識の問題と捉えます。
     →6パターン。

とりあえずここまで。えーと組み合わせの計算は、昔やっただけでよく覚えてないのですが、これらの20の要素で、考えられる組み合わせは単純に掛け算で良かっのじゃないかな、と思いますので掛け算してみます。エクセルでやってみましょう。
4×5×5×5×3×3×6×5×7×4×2×7×6×3×5×5×5×5×4×6=
おおっと数字が出ない!!
 
後ろの3項目(×5×4×6)を削ってみたところで23,814,000,000と、ようやく数字が出ました。
実際には、「この場合は、間違いなくこの方法だろう」と紐づいてしまうものがいつかありますし、また一気に要素を羅列したので、重複する箇所もあるかともいますが、それでも総当たり戦でひとつずつ組み合わせをつぶしていくのは大変難儀だ、ということは、おわかりいただけたのではないかと思います。それを、ある程度体系化するまでに10年かかってしまった、ということでございます。