このへたくそ!と怒号がとんだ発表会

生徒はお客様なのでめったおこらない、椿事

 
生徒は普段、基本一人で、カラオケをバックに歌います。ですので、「他人の演奏と合わせる」ということがなかなかできません。「ちょっとでもそういう経験を……」と思い、発表会でバンド演奏をしてみたことがありますが、その結末が表題でした。
 

弾き語りだけだとこんなことも起こる

 
該当の生徒D.W.はオリジナル曲を作って、ストリート経験も豊富な生徒でした。しかし、いつも一人でやっているので、「経験としてバンド形式の中で歌わせてあげたいなぁ」と思って企画したのです。事前のスタジオ練習では問題なし。特にトラブルも生じずに演奏できました。「これなら大丈夫だろう」といざ本番です。
 

ライブハウスの音量、音の聞こえ方などで生じた混乱

 
さて本番。つつがなく他の生徒が歌い順調にことが運んでいきます。さてそのD.W.の番。カウントをいれて、「さあ スタート!」迫力ある生演奏の始まりです!!!……。
「あれ? メロディ、異常に高くね?」5度上げのハモリパートでないか。
サビにくると高すぎて歌えない。「ちょっと待てぇぇぇー」。と演奏中止。
「おいおい、どうした。緊張でもしてるんか?」
D.W.「いえ、普通に歌っているんですが……」
「自分の声、聞こえない?」
D.W.「いや、ちゃんと聞こえてます……」
「じゃ、次は大丈夫だね」
D.W.「大丈夫です」という会話を経てテイク2。
チッチッチッチッ、ジャーン! で歌い出し。
ってまた、めちゃめちゃ高いじゃねーか!!。
「やめやめ!!! ぜんぜん合ってないわ!!」
ざわめく会場、戸惑う生徒、落ち込むD.W.。
そりゃあね、それなりに歌い続けてきてこの音の取れなさはショックです。そこで、一度楽屋に引っ込んで音を確認し、その間に他の生徒の発表を進め、再度の登場を了承してもらうことに。
 
で、再度、最後の登場。
「大丈夫だよね?」
D.W.「大丈夫です」。
「よし、さあ張り切って会を締めよう!!」と、スタート!!……、
またしても高すぎ……、でドラムの私から会場全体へ
「この、へたくそぉぉー」という言葉が会場全体に響くことになりましたとさ。
 

慣れはとても大事

 
今回は大音量で、しかもステージ上の音の聞こえ方がオケとは異なることによって、生じた混乱だと思うのですが、これは慣れ以外に解決する方法はありません。逆の場合も生じます。スタジオで声を張り上げなければ聞こえないぐらいの音量ばかりで練習していると、自分の声の音量変化が乏しくなり、「大声でないと声が出ない」という状態になることもあります。特に高音です。するとTPOにあわせた曲調や声量では声のコントロールがつかず苦手意識が生じることになります。基本は「どんな状態にも合わせて声をコントロールできる」が理想と言えるでしょう。