才能があっても、うまくいかないこともある

十数年、教室をやっていて、3人だけ、最初からうまかった人がいます。

 
オーナーちゃんの教室には、年間100人ぐらい来ますので、0.3%ぐらいかしらね。「お前、何しに来た?」という人がいます。
 
 

明らかに上手

 
一応全員担当しましたが、「うーん、そのままで、いいんじゃない?」という感想の人が稀に来ます。そりゃあ小姑のごとく細かく言えばいろいろと出てきますが、自分で気づけるのでは? という感想を持ちながらやるわけです。
それでも来る方は「より上を目指して」ということでくるわけですから、「きっちりやるぞ!」というテンションでレッスンをします。
 
そのうちの一人に男性がいました。甘く響く声。高いところも無理なく出ます。当時はリズムが雑でしたのでその辺を重点的にレッスンしていました。
そんな中、市が主催の歌のコンテストがありました。何せ自称音楽の町高崎。いろいろとイベントを企画していた時期があります。審査員は群馬出身のプロミュージシャン。あ、ボ○イさんではありませんでしたよー。まあなんにせよ段階としてはCD添付の書類審査と、人前で歌う二時審査があり、それに通った10人ほどはFMラジオを通してライブで流れるという企画でした。「たぶん、グランプリ取れるから、出たら?」と勧めてみると、応募したそうで、書類審査は通ったそうです。「まあ、通るだろうね」と。そんな訳で、審査員の前で歌う二次審査当日、気になったので現場に行ってみたわけです。
すみません。歩いて5分のところです。そんなに気合をいれていったわけではありません。
 
そんなことで、20人ばかりの審査が公開で行われたのですが、「あれ、いねえぞ……」と気づく私。スタッフの方にきいてみたところ、「あー、その方ですか。来てないですねぇ」とのこと。
 
「あんにゃろー、やりやがったな!」
 
たぶん寝坊で遅刻です。普段から時間に大変ルーズな人間だったので多少心配はしていたのですが、案の定です。その後気まずかったのか、そのまま来なくなりました。
で、話は一年後に飛びます。同じ企画が行われ、たまたま車で仕事をしていてラジオをつけ、そのイベントを聞いていました。するとそいつが、去年と同じ曲で出ているではありませんか! ラジオで流れているということは、すでに二次審査を通っているということ。そんでもって結果はグランプリでした。「あーーやっぱりねぇ」という感想と、「たぶん今後デビューとかできないんだろうな、だらしないから……」という感想が入り混じり、複雑な気分になったオーナーちゃんです。仕事として、音楽で金を稼ぐ状態になるには、才能だけでは無理。人としてきちんとしなければいけない、というお話でしたw。