辛かった新規事業の立ち上げ、地獄を見たコロナ禍・・・やっと少し気持ちの余裕ができました。
大変久しぶりのブログ更新ですが、で、この映画でいいんですかね?
コロナ3年目ぐらいから、新規の生徒さんが増えてきました。
御多分に漏れずコロナ2年目後半ぐらいまで歌の生徒は減少の一途。そりゃそうです。基本「人と接触するな」が国の方針でしたからね。飲食店などはまだよかったですね、補助金が出て。あまり社会的に存在感のないサービス業は何の救いの手もございませんでした。あ、こりゃこりゃ、と。
そんな愚痴をたれつつも、何とか踏ん張っていると、3年目ぐらいから少しずつ生徒が増えてきました。そしてその時に入ってきてくれた彼(彼女)等は結構面白い面々が多かった気がします。その中にアラサーの男性I氏がいます(2023現在)。
この男、完全に時代を間違えて生まれてきました。「自分の青春はアメリカングラフィティで、生まれる前に青春、終わっていたんですよね。」という感性の持ち主。音楽も80年代のシティーポップをこよなく愛し、そして、かなりの映画好き。そしてそれははやりものや現代のものなどには目もくれず、己の趣向を徹底した作品を数多くコレクションしていました。当然のようにフランスの映画監督であるフランソワ・トリュフォーの『突然炎のごとく』『私のように美しい娘』『恋のエチュード』『柔らかい肌』など持っていて、勝慎太郎の『兵隊やくざ』、タモリさんと所ジョージの『下落合焼き鳥ムービー』など、世間評価に一切動じず、好きなものは好き、と言える生徒です。で、せっかくなので、「ちょいと、映画、紹介して頂戴な^^」ということで、現在60本ほど借りてみている次第なのですが、その中の1本が表題の『現代ヤクザ血桜三兄弟』というわけです。
当時の風潮でしょうかね。世相を反映し、かつメジャーでない楽曲の選曲
映画を借りるときに、テーマを設定して借りているわけですが、この時は「渡瀬恒彦特集」といった塩梅でした。『鉄砲玉の美学』『暴走パニック大激突』『神様のくれた赤ん坊』『化石の荒野』『時代屋の女房』『戦国自衛隊』そして『現代ヤクザ血桜三兄弟』でしたが、最も気になる音楽はこののなかで使われている「マリリンモンロー・ノーリターン」でした。
耳につく、そして意外性「この世はもうじきお終いだ」
そもそもやくざ映画ですから、華やかな高度成長時代の影の部分です。そして60年安保闘争の影を引きずっている時代ですから、なんとなく厭世気分が充満していたのでしょう。曲がいいとか歌・演奏がうまいなんてどうでもいい。とにかく「生きてるのがめんどくさい、ああ、すべてがいやだいやだ」という時代の匂いを感じさせてくれます。
この世はもうじきお終いだ
あの町この町鐘がなる
切ない切ないこの夜を
どうするこうするあなたなら
マリリンモンロー・ノーリターン
で、この歌詞と歌、野坂昭如です。そうあの『火垂るの墓』の原作者です。ひょえーーーー、マジですか!とちょっとびっくりしました。調べてみると「黒の舟歌」も当人なんですね。いやーさすがだと思いました。シンプルなメロディかつ印象的、そして、文字数が少ないのに、伝えたい雰囲気を出す言語センス。このシンプルなセンスは現代では失われつつあるように思います(何でもかんでもペラペラ音数増やして歌詞に詰め込むのが風潮のようですから・・・)。そしてこの感性が、この映画と融合し、見事時代を切り取ったと感じた次第でございます。まあ内容は、チンピラが調子に乗って悪さしたら、裏目に出て身内から命を狙われ、「何がおじきじゃー!!(だったかな)」みたいな逆切れで、親分のタマとっちゃる!!みたいな雰囲気になって、身内同士の抗争、そして死亡。なんの生産性もない結末でしたとさw。