イメージに合わなければ、人を変えるだけ。

人生で最初に接した、プロとして音楽をやっていた方のセリフ。

 
高校時代、一緒にバンドをやっていた友人の2つ上の兄上でした。
 
 

学生レベルには新鮮な視点のオンパレード

 
「音楽は趣味だから。仕事は釣り」
プロとしての活動をしている時のその方”あっちゃん”のセリフです。
その時点では音楽の話より、
テグスの太さがあーだ、
毛鉤がどーだ、
磯釣りではオイルライターよりターボガスライターが絶大な威力を発揮するだなんだと、ほんと「音楽なんてどうでもいい」というような態度が印象的でした。また、有名アイドルのバンドマスターになって、録音したリハーサルの音を聞かせてもらった時は、歌とコーラスのばらばらさ加減に対して爆笑していました。
 
(私)
「なんで爆笑なんですか?」
(あっちゃん)
「だってコーラスの子、”今日私、なんだか調子いいです。いいですよね?”って聞くもんだから」
(私)
「え、なんて答えたんですか?」
(あっちゃん)
「笑顔で、OKサインだしといた」
 
ですって。ひどいなーと思ったものですが、基本いたずらっ子でしたので、「まあ、愛嬌」ということで納得していました。その後も有名ロックバンドのギターテクニシャンをやったっりして、私のまわりでは、もっともきちんと音で稼いでいる人でした。自分の勝手な印象ですが、けっこう仲良くしてもらった気がします。その中でちょいちょい音楽の話をしてくれるのですが、その中に曲作りに対してこんな話がありました。
 
「バンドマスターとしての仕事の面白さは、それぞれのパートがもつ能力を、イメージに対してどう組み合わせていくかだ。特に各パートのソロには絶対口を出さない。それぞれの専門家が、曲に対して一番”良い”と判断したものだからだ。ただし全体のイメージにどうしても合わない場合は、その人を変える。いい悪いではない。合う、合わないという問題だ」と。
あっちゃんも当時まだ10代だったと思いますが、
 
「ずいぶんとあっさりと、ある意味感情論の入り込まない理屈で動いているな」
 
と感心した気がします。ちなみにギターでしたが、学生の私にでもわかるほど圧倒的にうまかった。というか、「あ、プロですね」という演奏でした。またその当時は、ギターのエフェクターがラックタイプというけっこうスペースをとる、どでかいエフェクターケースを使っていました。「さすが、こういうものを使わないといい音が出ないんだなーー」とよくわからないなりに思い、ふと「どういう感じで、エフェクターは選ぶんですか?」と聞いたことがあるのですが、返ってきた答えはこれ。
 
「ん??ピコピコ光るやつ」
 
そんなこんなで30年ぐらいたちますが、いまだにその当時の会話を覚えているほど、音楽に対してのものの見方みたいなのを教えてもらった気がします。たぶん私のことは覚えてもらっていないと思いますが、せっかく取り上げたので御礼を言っておこうかな、と思います。
 
あっちゃん、謝謝^^