ということを知っている。
音楽をやってます=全部知っている、という勘違いは危険である
話をしていて、ああすごいな、と思う人はきちんと自分の専門を知っていて、それ以外には基本的に謙虚である。
総合的にある程度能力が上がっても、専門となるとそんなに簡単ではない
歌を教えていることを仕事にしていると、どうしても付帯能力としてアレンジ、ミックス、録音技術などを身に着けなければなりません。そして努力の結果として、ある程度一般の人よりは能力が上がります。だからといって何でもできると思い込むことは大間違いです。
たとえば音を聞き分ける力。タイミング・音量・ピッチ・声質に関しては、判断をしなければいけないのでシビアになりますが、他の楽器の音の造りや、全体の楽器の音の配置、音量バランス・音質バランスなどは専門家の足元にも及びません。これは録音物としての話ですが、さらにはライブ会場での音作りなどはまったく別物と考えていいでしょう。それぞれの楽器が出す音色、音量、会場による反響音の調整、ハウリングなどの機械上の制約に対する対応などなど。このほかに、楽器の調整や作曲の方法論的なものなど特化させるべき要素があり、常に謙虚に、「あれはできるがこれはまだまだできない」という判断をしなければなりません。
専門家は語り好き
私もそうですが、自分の専門分野に対してはどうしても話が長くなります。他の専門の人も同じ傾向があります。しかし話の長さから専門性の質が見て取れます。とにかくイメージ的な言葉を羅列して、素敵な芸術家のように訳のわからないことを長々と語る人と、きちんと体系化し、説明に過不足がないように話そうとするため長くなってしまう人です。どちらが良いか、なんて言うまでもありませんが、まずは後者を目指すべきだと思います。そしてその上で、簡潔に説明できる、ここを次の課題とすべきでしょう。いずれにせよ「長すぎる話」は年寄りの悪い癖です。自重せねば……。