弾きやすさの追求
プロ・ギタリストH@Nさんのギターのほとんどはこの仕様です。(ソリッド・エレキギター限定のお話です)
ギターに携わる者としてのこだわり、「演奏」「機材」、そして「操作性」
H@Nさんはプロ・ギタリストとしてかなりご高名ですが、実際にお宅にお邪魔すると
「工具の山」
でした。「いやー、このギターはボディが重すぎたんで、穴を開けて軽くしたんだ」「これは大きすぎたので周りを削って一回り小さくした^^」みたいなお話がバンバン出てきます。これは衝撃。
「えーー!楽器の形とか響きに影響が出てしまうんじゃないですか?!(←受け売り)」
「ん??だいじょーぶ^^」
とのこと。実際弾いてもらってもやっぱりいい音……。いや、そこまでギターの音が分かるわけではないのですが。その代わりピックアップとかも改造しまくっているようです。まあプロが音として「大丈夫」というのであるから大丈夫なのでしょう。ところでなぜこんなことをするのでしょうね? という疑問が生じるわけですが、その理由は
1.自分の体型に合っていない
2.既存のギターの形状では弾きづらい
この2点に集約されるようです。1は特にステージ上の見た目のバランスのようです。H@Nさん、少し小柄ですので、標準サイズのギターでは大きすぎてバランスが悪く、かっこ悪い。自分の体格に「かっこよくフィットする」サイズを求める。これが肝心だそうです。
2は1に付随しますが、手もやや小さめ。そのためハイフレット、特にネックとボディの接合部分近くはとにかく指が届きにくい。そしてこれが面倒だ。ということで、ネックとボディをつなぐ部分の後ろ側を斜めに切り落とす、ということをしているのです。これを
「ヒールカット」
と呼ぶそうです。そして実際に弾かせてもらうと、「うっひょー!弾きやすいわ!!」という感想になりました。なんていうのかね? 「ふわっと手に収まる」というか、とにかくストレスが無い。これはすばらしい、と感動ひとしおとなりました。
楽器に対する姿勢の差
そういえばベーシストのギタロー氏と話をしていたときに、こんな話が出ました。「アメリカでは、ギターの修理屋みたいなものが普通に成り立っている。これは購入したギターをよりよいものにするために自分で手を加えるのが前提となっているからだ。また、低価格でもよりよい音が出るのであればそちらを利用する。もちろんブランドへの信頼もあるが、その前に”音”に対するイメージが先である」みたいな感じです。
この感覚は普通の日本人ではなかなか無いのではないでしょうか。私などは「楽器メーカーが丹精込めて製造したのであれば、それは最良の調整をしてあるハズ。ゆえにシロウトの私ごときが手を加えるなど不届き千万」ってな感じ。おそらくスタートは皆さんこんな感じでしょうから、自分で手を加えるところまで到達するには中々時間がかかるでしょう。なによりそれは
「自分の作る音に対する自信」
が絶対的に必要な要素となるからだと思います。改造して音が悪くなったんじゃ、目も当てられませんからね。さてヒールカットの話に戻りますが、音質に変化は無く圧倒的に弾きやすいのであれば「標準にしてしまえばいいんじゃね?」と思ったのですが、それに対してはH@Nさん、
「うん、向こうのやつら、手、でかいから関係ないんだよね」
とのこと。あ、確かにw。まあ、そんなことで自分のギターでもやってみたい衝動にかられ夜、衝動的にのこぎりでギコギコ切って、お手製ヒールカットしたのが冒頭の写真です。ちなみにH@Nさんには
「えーー、のこぎりで切ったの?…」
と言われてしまいました。改造することと使用する道具にも、やはりこだわりがあるようです^^。